とにかく分厚い一冊。
ボリュームがあります。
たぶん第一巻の二倍のページがあると思います。
「安倍晴明 龍宮の宝玉を得ること」
(あべのせいめい りゅうぐうのほうぎょくをうること)
十巻の続きで、晴明は気を失います。
博雅は、晴明の身を案じて、不安になって涙、涙。
そのまま、晴明の意識は別の次元に飛びます。
彼にしかわからない何かをつかんで、魂が肉体に戻ります。
この巻以降は、周囲と晴明の意識の違いが、どんどんひらいていきます。
それでも、この世界に戻って、
何かをなさなくてはならないと晴明は思っています。
「キョーフの真葛サマ絵巻」
(きょーふのまくずさまえまき)
どんどん貫禄が増していく真葛。
その内面世界が、ほぼコマ割りなしで展開します。
こんな風に強くなりたいです。
「安倍晴明 温明殿の霊剣を修理すること」
(あべのせいめい うんめいでんのれいけんをしゅりすること)
晴明の霊剣の修理と賀茂保憲の霊剣の修理は、
セットだと、今頃気がつきました。
藤原兼通 と 藤原兼家
賀茂保憲 と 安倍晴明
それぞれの思いと
水面下の対立の構図が浮かび上がります。
人と人との間で生まれる感情は、物事を動かす力があります。
本心を隠していても、思い自体はなくなりません。
むしろ、隠すことで、本質が見えにくくなります。
他者にはわかっていなくてもいいのですが、
当事者はわかっていた方がいいので、
本質を見抜く目を持つことは、楽に道を歩くための鍵のひとつになります。
「安倍晴明 闇に懐胎すること」
(あべのせいめい やみにくわいたいすること)
真葛はこれまで、晴明を守るために、
身を捧げてきました。
が、懐妊したことで、
これまでのように、身を捧げることができなくなりました。
その母としての覚悟が、
いさぎよくてよいなと思って読んでいました。
「安倍晴明 闇を解くこと」
(あべのせいめい やみをとくこと)
これまでの晴明とは違う姿に、バージョンアップしました。
あまりにも違う感じがするので、
戸惑うほどです。
「これでいいのかな?」
と思いながらも、物語は進んでいきます。
もう、晴明は、博雅以外の人とは、話していません。
でも、そのときの方が、生き生きとしていて楽しそうです。
周囲との温度差を気にせずに、いられますからね。
「賀茂保憲 高雄山にて霊剣を修理すること」
(かものやすのり たかをさんにてれいけんをしゆりすること)
晴明だけでは、霊剣の修理は完了しません。
賀茂保憲の、陰陽寮での役割と力が必要です。
そして、これまでの、この二人の関係は、
お互いにいろいろ思うところがあって、
あまりうまくは、いっていません。
大きな目的のためには、
そのいきさつも乗り越えて、浄化しなさいという
ミッションが来ます。
そのメッセージと、目的の重要性を認識したときに、
人は変わることができるのだと思いました。
内裏をバージョンアップするための、出来事が整っていきます。
~この巻の極意集~
大黒は不浄と狂いと
卑怯を徹底的に嫌うのだ
ほんの一点でも
曇りがあれば
たちまち
大黒の純粋性が失われ
曇った己(おのれ)の暗黒と
交ざり合って
恐怖と変化してしまう
そんな暗黒は
本物の暗黒ではない
魔術は九十九パーセントが
準備だ
踏み込む前に
踏むべき手順を
一つ一つクリアしなければ
いざ踏み込んでも
浅い次元にはまり込んで
元の目的さえ
見失ってしまう
霊剣を
あつかう
からには
まず
己の
不純物の
一切を
とりのぞけとな・・・
~~~~~~
「すべてを生み出し
すべてを育み
すべてを終わらせる
永遠の存在」
のメッセージを感じ取れるように生きたいと思いました。
(最終更新日2022年2月9日)